こんにちは。協力隊OB(2025.3卒隊)の杉本健輔です。
大芝高原みんなの森が、生物多様性の保全が図られている区域「自然共生サイト」として、国から認定されましたので報告します!!
(画像:認定式の様子、認定証、記念楯)



大芝の森と生物多様性
大芝の森は、100年以上前から先人たちが後世のために育ててきた全国屈指の平地林です。
多様な動植物がにぎわい、みんなの笑顔があつまる、人にも生き物にも大切な場所になっています。
松枯れ被害が拡大してきたことから、南箕輪村は地域住民の声を反映した「大芝高原森林づくり実施計画」を策定しました。みんなの森エリアではアカマツを伐採して、天然生の広葉樹を活かした「多様性の森」を目指していくこととしました。
リンク:森林づくり実施計画(村HP)
https://www.vill.minamiminowa.lg.jp/soshiki/kankoushinrin/ooshibaforestplan.html
(画像:森林づくり実施計画のゾーニング図、2024年協力隊活動として開催した森づくり勉強会の様子)


自然共生サイトへの登録について
村の森林づくり実施計画と国の自然共生サイトの親和性が高かったことから、自然共生サイトへの申請手続きを村と一緒に進めてきました。
・既に生物多様性が豊かな場所であること
・生物多様性を保全する取り組みがあること
以上の2点から、みんなの森は「自然共生サイト(維持タイプ)」として国から認定されました。
単に計画書を作ったから認定されたのではなく、「長年にわたる地域の皆さんの取り組みの成果」(植樹祭、学校林作業、森林環境教育、野鳥観察会、希少植物保全活動など)であると言えます。
(画像:自然共生サイトの申請概要)

自然共生サイトになると、どうなるの?
ここで、自然共生サイトとは「原生的な自然の保護」を目指すものではありません。
散策や自然観察したり、虫採りや山菜採りを楽しんだり…、身近に豊かな自然があることで享受できる多様な価値を持続可能な形で活用しながら、将来世代に繋いでいこうという取り組みです。認定後も今までどおり、クワガタ採りや山菜採りOKです。(節度をもってお願いします。)
自然共生サイトをきっかけとして、“アカマツだけ”ではない大芝の森の魅力を、より多くの方に知っていただけると嬉しいです。
おわりに
協力隊は卒業しましたが、今後も地域のみなさんと一緒に、大芝の森の魅力の発信や利活用に携わっていきたいと考えています。
よろしくお願いします。
文責:杉本健輔(2022-2024年度南箕輪村地域おこし協力隊、合同会社ちいもり代表社員、技術士(森林部門)、森林総合監理士)
*************以下、制度などの細かい話です。マニアックなので読み飛ばして頂いてOKです。**************
制度の背景
2022年の生物多様性条約第15回締約国会議(CBD-COP15)において、2030年までの新たな世界目標である「昆明・モントリオール生物多様性枠組」が採択されました。
この世界目標を踏まえ、我が国では世界に先駆けて2023年に「生物多様性国家戦略」を改定し、2030年ミッションとして、生物多様性の損失を止め、反転させる
「ネイチャーポジティブ」の実現を掲げています。この実現に向けて、2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする目標(30by30目標)を位置付けています。
リンク:ネイチャーポジティブポータル(環境省)
https://policies.env.go.jp/nature/nature-positive
(画像:環境省HPから抜粋)

大芝高原みんなの森の認定について
法制化後初の認定となる今回、有識者審査を経て、全国で201箇所が認定されました。
大芝高原みんなの森は「①既に生物多様性が豊かな場所を維持する活動(維持タイプ)」として認定を受けたので、今後、OECM(Other Effective area-based Conservation Measures:保護地域以外で生物多様性保全に資する区域)として、国際データベースにも登録される予定です。
企業版ふるさと納税について
近年、企業によるネイチャーポジティブへの取り組みが注目されています。
大芝でも、「多様性の森づくり」を支援してくださる企業様を大募集中です。
村では支援の受け入れ体制として、「企業版ふるさと納税」の仕組みを整えています。
今後、パートナー企業様とのWin-Winな形を構築すべく、環境省とも連携しながら、支援証明書の発行、TNFD対応、企業研修等での森林利活用などを検討していきたいと考えています。
「みんなの森を支援したい!」という企業様は、南箕輪村観光森林課までお問い合わせください。


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